《MUMEI》
視線の先
「松本」

「はい?」

「いいのか?…あれ」


俺達の視線の先には、グラウンドを走る厳がいた。


今日は、一年生は外で体力トレーニングらしい。


厳は、同じくグラウンドを走っているバスケ部の


朝倉 奈都(あさくら なつ)の生足を食い入るように見つめていた。


朝倉も、松本と同じ候補だ。


しかし、彼女達は他に候補がいる事は知っていたが、それが誰で、何人いるかは知らなかった。


そして、見極め人が二年生なのは知っていたが、俺だとも知らなかった。


「朝倉さん、綺麗ですから」


松本が言う通り、朝倉はモデル体系の美人だった。


(高山家に入っても、見劣りしないよなあ…)


「どうして、私候補なんだろ…」


ポツリと言う松本の外見は、六人の中では一番地味なのは確かだ。


身長も、多分体重も標準だし、顔もブスでは無いけれど、ものすごく可愛くもない。


一見、普通の女の子だった。


『先輩は可愛くていいですね』


初対面で心底羨ましそうに言われて、俺はかなり複雑だった。


「「あ」」


俺と松本の視線の先で、厳に体当たりした女の子がいた。


そして、更にそんな様子を見ている女の子もいた

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