《MUMEI》

次の日の朝……


「ん…。もう朝か…。」

ふと、昨夜起こった奇怪な出来事が頭を過ぎる。

アレは夢だったんだろうか…。


いや、そうであってほしい!!


そう思いながら部屋を眺める。


「あ…。」


部屋の中央で、まるで蛹の様な形をしている黒い物体。


それは、昨夜の出来事が夢ではないことを物語っていた。


唖然と見つめていると、グググ…と翼が広がった。


「お、おはようございます。」


「ん?ああ。」


グレイドは素っ気なく返事をすると、立ち上がった。


それに吊られて俺も立ち上がる。


そして徐に時計を見上げると、


「わ!!もうこんな時間!!」


学校へ登校する時間をとっくに過ぎていた。


慌だしく学校へ行く準備をしている俺に、


「何かあるのか?」


グレイドが不思議そうに尋ねて来た。


「ごめ、いやすみません!ちょっと急いでるんで!!」


俺はそう言って物凄い速さで部屋を出て行った。


一方のグレイドは…


「ふーん…。」


窓から、家を飛び出して慌てて走って行く俺の様子を、物珍しそうに眺めていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫