《MUMEI》

「行く!!」


真っ先に答えたのは蓮翔ちゃん。


「ん。じゃあ一番良い席、後輩に取らせとくから。」


「マジか!!?」


「マジだ!!」


そう言ってニッと口元を吊上げた。


「まあ、今日は良いもん見させて貰ったしな。

最初は冷や冷やさせられたけど。」


「ふん!!うっせぇ!」

「なんだ、その態度。

わざわざミーティング中に来てやったんだぞ。

ちょっとは感謝されても良いはずだが?」


そう言って俺は蓮翔ちゃんの顔をのぞき込む。


「だー!もう!!
はいはい、ありがとーございやしたー!!」


「気持ちが籠って無い!!」


今度は蓮翔ちゃんの背中をバシッと叩く。


「ってーなあっ!!」


蓮翔ちゃんも俺の背中を叩き返した。


そして、ひとしきり笑い合う。


その時、


「すげぇ……」


感心仕切った様子の野球青年達が俺たちに見入っていた。


……やべぇ…コイツ等いるの忘れてた。

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