《MUMEI》 幼なじみ登場そして、次の日― 「お前〜!!」 大学に行くと、陽仁と喧嘩している尚を見かけた。 「あ、おはよう、秋谷」 秋谷という呼び方を聞くのは久しぶりかもしれない。 「爽やかにおはようじゃない!お前、俺の名前使って、明日休むとか言ったろ!!」 …やっぱりその話題か。俺は涼しい顔をしながら、宮に話しかける。 「おはよう、宮。今日は寒いな」 「えぇ、昨日よりは暖かいわ。それより…」 「あ、あぁ…あいつらか」 まだ喧嘩をしていた…。 「やかましい!」 俺が仕方なく制止に入った。 机と机が狭いので、かなり3人も入るとキツイ… 「…龍也…」 「お前!」 喧嘩に夢中だったから、多分止めに入る事は予想してなかっただろう。 「…お前ら…いい加減大人なんだから、喧嘩はやめてくんない?」 一瞬自分を自己嫌悪してしまった。あぁ…なんて馬鹿な事をしたんだろう、そら見ろ。辺りみんな静まり返ってしまったではないか… 「…ごめん」 「いや、俺に謝られても」 そして、いつもの授業風景に戻った。 「陽仁!」 「なんだ…龍也か」 「久々会ったから、話したくて!」 とある昼下がり。校舎の裏側で、俺達二人は玄関の近くで佇んでいた。ちなみにもう授業は終わっている。 「…俺の事、覚えててくれてたんだな」 「そりゃそうさ!なんせ、秋谷と宮に続く大事な親友なんだから!」 これは誇らしく言える事だ。 すると、陽仁はペットボトルを手にした。 「…フフ、相変わらずだなぁ…お前」 「え?」 「ちょっと前に聞いたんだけど…お前、秋谷と付き合っているんだって?」 どうして知ってるんだ!?噂の出所は宮か…? 俺は陽仁に背を向け、動揺のあまり、両手を顔に添えた。 「…陽仁…お前…なんでそんな事知ってるんだよ…?」 「宮から聞いた」 「そんなあっさり!」 「アハハ!大丈夫、みんなには言わなきゃいいんだろ?」 この先が思いやられるな…と思いつつ、俺達二人は校舎を後にした―… 前へ |次へ |
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