《MUMEI》

「初めて見たな。」


「うん、初めて見た。」

ん?何のことだ??


周りの声に、俺が困った風に蓮翔ちゃんを見ると、蓮翔ちゃんも?顔で見返して来た。


「滝澤颯馬の素……初めて見た……。」


豪田が今にも消え入りそうな声を出した。


ああ、そう言うことか。


確かに俺はメディアの前では素っ気ない。


そんな風だから、周りの奴等からは難い印象を持たれているのだ。


「別にそんな珍しく無いだろー。」


蓮翔ちゃんが飽きれた調子でチームメイトに語り掛けている。


だんだんと日が欠けてきて、皆の顔が薄暗く見える。


「だって珍しいからさぁ〜!!


あ、そだ!!」


一番小さな奴が俺に近寄って来た。


そして、照れくさそうに頭をかく。


「その…試合…俺も行っていいか?」


は?何言ってんだ。


俺はその提案に却下しようとして息を吸い込んだその時、


「良いぜ。」


隣りで少しくぐもった声が聞こえた。

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