《MUMEI》
宣戦布告
「ありがとな。」


蓮翔ちゃんと帰宅中、ふと礼を言われた。


「別に良い。

まあ、父さんに見つからない様にしてくれれば良いから。」


「おう、分かってる!」

結局俺は、野球青年達の試合を観戦しに行きたい、と言う用件を承諾してしまった。


ただし、条件つきだ。


「お前の親父に見つかったらヤバいもんな。」


蓮翔ちゃんが何かを思い出したのか、ブルブルと身震いする。


そう、条件とは、俺がアイツ等と関わっていることをバレない様にすること。


野球青年達はそのことを聞いた時、何か言いたげだったが、俺の真剣な眼差しを受けて諦めたようだった。


すっかり日も落ちて、辺りは真っ暗だ。


蓮翔ちゃんのチームメイトも今回の試合で結構疲れたのか、これ以上俺に深入りせずに帰って行った。


とても目を輝かせて。


俺と蓮翔ちゃんも、ようやくコンクリートで囲まれた長い通路を抜けて、出口に辿り着いた。


さすがに野次馬たちはいなかった。


その様子を伺って二人してホッと一息付いていると、目の前に人の形をしたシルエットが飛び出して来た。


たまげたな、こんな時間になっても待ってるなんて…。


しかし、だんだんと目が周りの景色になるにつれて、そいつが野次馬では無いことが分かった。

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