《MUMEI》 立ち上がると、真っ先に胸ぐらを掴まれた。 目の前には、いつも俺を手荒く扱っている奴が物凄い形相で睨んでいた。 もう一人は対照的にゆっくりと近付きながら、この光景を傍観している。 俺の胸ぐらを掴んだ奴は、相変わらずの鋭い目付きで俺を舐め回したあと、 「何ニタニタ笑ってんだよ。」 低い声でそう言い放った。 どうやら俺は、教室でも自然と顔が綻んでいたらしい。 それがそいつ等にとって気に食わなかったのだ。 「何黙ってんだよ。 舐めてんのかてめぇ?」 傍観していた奴もじわじわと俺に近付きながら、食って掛かった。 後ろはフェンス、左右はそれぞれこの二人組に阻まれている。 まさに絶対絶命だ!! 「何とか言えよ!オラァ!!」 更に何も言えないでいると、胸ぐらを掴んでいた手がパッと離れた。 それとほぼ同時に、二人の拳が飛んで来た。 俺は成す術なく、目を閉じ、両腕を掲げて顔を隠すしか無かった。 前へ |次へ |
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