《MUMEI》
ピアスとメイちゃん
日高の部屋に入るのは初めて。数日前玄関の前までは来たけど中に入らなかったし。
突然訪ねて来たら部屋の外で5分待たされた。中からはワ〜とかウ〜とか騒ぎながらガタガタと部屋をかたす音がして。ちょっと擽ったい気持ちで待っているとやっと扉が開いて中に促された。


畳部屋の端っこにマンガが山積みされ、たたんである衣類がテーブルの下、
日高はテーブルを濡れティッシュで拭きながら顔を真っ赤にしている。

相変わらず色褪せたシャツに下はスエット。
伸びてしまった襟から鎖骨がはっきりと見えて思わず生唾を飲み込んだ。
「来るなら言ってよ、びっくりした〜」
「ごめん、突然会いたくなって」
あれから毎日メールと電話してるけどやっぱり傍に居てなんぼだろう。動かす手首を掴んで引き寄せると日高は大人しく…いや、自分から俺の胸に飛び込んできた。

「まこちゃ〜ん、会いたかった」
「俺も、会いたくて来ちゃったし」

バイト先から直行してしまった。バイト中も頭から日高の事が抜けなくてどうしょうもなくて速攻来た。それでも既に10時過ぎてたしいきなり訪ねて親に嫌われたら…って考えたけど、日高のお袋さん、何も構わなそうな感じの気さくさで普通にどうぞって上げてくれた。
もしかして日高の部屋は年中人の出入りがあるのかと勘繰ってちょっとヤいてしまったがそれはぐっと堪えて。


「まこちゃん、隣今日兄貴と彼女居るんだ…」
「あ、日高は兄貴いるんだっけな」
「うん…」

兄貴か、そうか、日高じゃなくて兄貴で慣れてたのかも。
ちょっと気分がよくなりつつ耳元に静かにしようなって囁いて、耳たぶを噛むと日高は僅かに体を震わせながら頷いた。
俺が来て早々始まる行為。

勝手に部屋の鍵を閉じて蛍光灯を消す。

突っ立ったままの日高のシャツを掴んで
「バンザイして」

素直にバンザイした日高からシャツを脱がせ俺も無造作に脱ぎ捨て、上半身裸のまま抱きしめて、
激しく唇を重ねた。

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