《MUMEI》

◆◆◆

「それでぼーっとしてたのね。どうりで話しかけても返事をしない筈だわ(苦笑)」

玖珠はそう言って小さく笑った。

「祖父はね、晴れた日にはよく私を抱っこして社の外に出て日向ぼっこするのが好きだったの(微笑)」

「だからか‥」

「ん?」

「その時の祖父さんの記憶を見た気がする‥」

「それって──」

「赤ん坊のお前を抱いて‥日だまりの中にいた──」

「そう、あんた祖父に気に入られたのかもね(微笑)」

「ぇ?」

◆◆◆

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