《MUMEI》
人差し指
彼女に秘密が或ることを僕は知っている。


彼女はたまに、バイト先のショッピングモールに居て僕は勿論、彼女自信は互いに関心が無かったのだけれど……。

まあ、従業員の着替え場所が統一されていて、
僕は阿呆だから、痴話喧嘩を彼女に聞かれてしまったんだ。
今考えても恥ずかしい。
嘖いを見られたどころか無理矢理迫られて唇を奪われるだなんて女々しい所を見られてしまった。

平々凡々な女子高生なのだと思っていた彼女は眉一つ動かす事なく着替えて帰って行った。
その時点で僕の中で彼女の異質さが際立った。





「落とし物しましたよ。」

僕の落としたダイヤのピアスの片割れを渡された。
彼女の右手から、小指が無い事に気付いた。

僕は、何と無く、
欠陥した者同士で上手くやれる気がした。


彼女の、たまに宙を浮く物を眺めるような虚ろな瞳が異質だ。

彼女の見ていた世界を知りたかった。


恋は好奇心に似ている。
彼女へ自然に、惹かれてしまっていた。

これは運命だろう。
何の、
と言われても分からない。

不明確さもまた、
愛おしいじゃあないか。

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