《MUMEI》 そんな名もなき人々をオレはこう呼んでいる――…。 『乗り換えレーサー』………と。 乗り換えレーサー達は、互いに譲り合うこともなければ干渉することも無い。 自分以外の人間は全て障害物… 耳に聞こえるのは全て雑音… 目に映るものは全て日常生活でルーチン化された虚像… 狭い車内で鬱積したストレスを抱えたまま、ほんの僅かな距離を移動し、更なるストレスを溜めこみながら次の電車に揺られる――…。 ただ己の歩む道を1分1秒でも早く突き進むことだけを考えて、日々地下世界をかっ歩しているのだ。 かく云うオレも、そんな乗り換えレーサーの一人なのである…。 前へ |次へ |
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