《MUMEI》

(話は戻る…。)


オレが乗っている東京メトロ半蔵門線〜東武伊勢崎線直通・南栗橋行きの電車は、カクンと小さく揺らいだ後、完全に停車した。


レースに例えるならレッドシグナルが点灯したところだ。



――…いよいよスタートだ…!!


オレはゴクリと生唾を飲む!



目の前には、銀色したドアの割れ目にピタリと鼻先をくっつけるように、ポールボジションのOL……女レーサーがいた…。


後ろ姿しか見えないが、なかなかの美形とみて間違いない…!



だが、ここで出会った以上、オレの行く手を阻むライバルに変わりない。



心の声『たとえ女であっても容赦はしない――…!!』


オレはその茶色いロングヘアを睨みつけた!



すると―――…

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