《MUMEI》

オレは真ん中のエスカレーターの、右側のレーンに行こうと思えば行けた…。


運よく混雑を回避できた筈なのだ――…。



オレの目前には、距離にして50メートルはあろうかという巨大なエスカレーターが、右側の空きレーンを登ってゆく利用客達の体力を奪い取ろうとそびえ立っている!



だがオレは何故か左側のレーンに立ち止まり、巨大エスカレーターのせり上がりに身を任せているだけだった…。



オレは体力を温存することを選んだのか……?



―――…否…!


オレを左側のレーンに導く“見えない力”が働いたのだ…!



何故ならオレの目の前には――……

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