《MUMEI》

心の声『糞ぅ!…こんな素晴らしい脚は、年に一度出会えるかどうかだってのに!!』



こうなってはもうダメだ……。


オレは後ろ髪を引かれる思いで、パンスト観賞を諦めることにした。



オレは右側の人波が途切れた隙間にサッと割り込み、エスカレーターを登り始める。



そして金髪美女を追い抜きざまに、彼女の足元に視線を落とした―――…。




―――…さらば金髪……。




―――…さらばパンスト……。




……カン・カン・カン・カン・カン・カン………


エスカレーターのステップを叩く靴音が、やけに虚しくオレの心に鳴り響いていた――…。

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