《MUMEI》

万事休す――…



それは、オレが会社の始業時刻に間に合う、リミットギリギリの電車だった。



オレが降りる東池袋駅では、有楽町線の5号車あたりが、改札へ登る階段へのアクセスが最もよい。


つまり、それより手前の車両に乗ってしまうと、東池袋駅でスムーズに下車できず、オレは会社に遅刻してしまうのだ――…!



そうこうする間に、シルバーの電車は完全に停止し、開いたドアから大勢の通勤客を吐き出した!


有楽町線のホームがごった返す!


もはやオレが突き進むラインは、人波で覆いつくされてしまった!



心の声『ダメだ!…5号車には乗れない!』

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