《MUMEI》
出会い
家を出て、すぅっと肺いっぱいにシュウは空気を吸い込んだ。
『げほ、吸いすぎた』
少しドジでもあるが…。

朝は不思議な生物がいるからシュウは好きだった。

ぴーちちっ
肩に鳥が止まり毛繕いをする。シュウを木だと思っているようだ。鳥はシュウと目が合うと『ちちちっ』と飛んでいく。

ゆっくり散歩をしているとダイヤワーウルフが寝ていた。起こさないように歩いたが…
…ぱきっ
黒いダイヤワーウルフの耳が動く。シュウに冷や汗が走った。ダイアワーウルフは森を治める番人であるから。散歩をした選択肢が間違えだったのかもしれない。

恐怖でずっと目を瞑っていたが何も起きない。ゆっくりゆっくり目を開けた。
先ほどのダイヤワーウルフがおすわりという形で目の前に居た。
《すまない。怯えさせてしまった。仮使い魔という形でお返しをしたい》
そのままダイヤワーウルフは律儀にお辞儀をした。
黒い瞳を輝かせて…

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