貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
mission 1 新入部員確保!
台所でご飯を食べるのは無理そうだったので。
道場で食べる事にする。
我が暦(こよみ)家は剣道、柔道、空手道に深く関わっていて早く言ってしまえば武術の家系なのである。
ちなみに母親は七年前に他界しており、父親は世界に武術を広めようと外国を転々としている。
「はぁ…」
朝からこんな重いため息など吐きたくないがで出てしまうのはしょうがない。
板の間にブルーシートを広げる。
そこに煮込み用の大きな鍋を重そうに持ったみはるちゃんがやって来た。
「みはるちゃんお疲れ様。……さつき姉は何日分の味噌汁を作ったんだ…?」
黙りこくるみはるちゃん。
きっと鍋の中を見たのだろう。
「ワカメです…」
「え?あぁ…具は普通なんだ。」
ふるん、ふるんと首を振るみはるちゃん。
「ワカメなんです…」
色のない瞳でそう告げた。
思考が悪い方へ、悪い方へと繋がってしまう。
まさかな、と蓋を開けた。
ワカメだった。
味噌汁なんかではない、ワカメだった。
汁もない、豆腐もない、油揚げもない。
ワカメだった。
「戻しすぎだよ…これ…」
味噌汁を全て吸い込んだワカメが煮込み用の大きな鍋にぎっしり詰め込まれていた。
「重かったろ…みはるちゃん…」
泣きそうなみはるちゃんを慰める。
そこに、ジャーを持ったさつき姉が
「何?このワカメ!?多すぎでしょー!!」
大笑いだった。

ピクニックのような朝食は始まった。
「こういうのもいいね」
などと、さつき姉は上機嫌だ。
どれから手をつけていいかわからない自分達の気も知らずに…
とりあえず一番無難な白米を口に…ガリッ
ガリッ…ガリッ…
さつき姉の口から白米らしからぬ音がする。
ちゃんと炊いたのだろうか?
少しだけ、自分が涙目になってることに気付く。
「ふぅ、ごちそうさま!じゃあ私、支度してくるねー!」
迅速に朝食を済ませたさつき姉は道場から出ていく、途端二人からため息が漏れる
「ユキ兄、田熊さん家からもらったお漬物おいしいよ?」
「あ、漬物好きなんだ。ありがとう、みはるちゃん。」
「しっかり食べて今日からの学校頑張ってくださいな」
「あぁ、ありがとう」
何もかも嫌なことを吹き飛ばす最高の笑顔だった。
バリバリバリバリ、漬物だけを食べる音が道場になり響く。
「本当にうまいなぁ」「うん…おいしい」

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