《MUMEI》

食べおわり片付けをしていた時…。

《名前?》
『うん。名前!どうゆうのがいいかなって』
《正式に契約『してないけどね、ワーウルフの名前は呼びにくいし村の皆が怖がるんだ』
ワーウルフの言葉を遮り、シュウの瞳が曇る。
《シュウは優しいな》
『え?』
《勉強を教えて正解だったのかもしれない。私自身には名前は貰えない》
『なんで?』
《それは…》
人型ワーウルフは元の姿に戻った。
《まだ言えない。でも今は側にいるから》
いつもと違う落ち着いた声だった。ゆっくりとシュウに擦り寄る。
(…ごめん。シュウ)

一匹のワーウルフが一滴の涙を流す。主人のために。守るもののために。
そして…初めて忠誠を使う一人の少年のために。

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