《MUMEI》

本当に何が言いたいんだコイツ!!


俺は流行る気持ちをどうにか保とうとしたのだが、もはやもう限界だった。


「…さっさと言えよ……!!」


そう言った頃にはもう須藤の胸ぐらを掴んでた。


「気が早いですね。

まあ、良いでしょう。」


須藤は至って平静を貫き通した。


そうして、


「……負けない…。」


「は?」


何にだ?


俺も蓮翔ちゃんも予想外の須藤の返事に目を見開いた。


その時に俺の手が少し緩んだのだろう。


あっさりと手を振り払われた。


「勿論、桐海蓮翔…。」


すると、俺達の心理を読み取ったようにゆっくりと須藤の唇が動いていく。


「…そして、滝澤颯馬。」


暗闇が邪魔して、今の須藤がどんな顔は伺えない。


だが、自信に満ちあふれた奴の言葉に、何となく想像は付く。


「…今日の試合といいさあ…お前、何企んでいる訳?」


蓮翔ちゃんが悔しそうに下唇をかみながら、不満をこぼした。


俺も大体は察していたが、相当屈辱を受けたんだな。


いや、蓮翔ちゃんほど有名な奴なら、屈辱程じゃ済まされ無いかも知れない。


それ相当のプライドっつーもんがあるんだからな…。


「負けない…。」


更に、須藤は同じ言葉を俺達に向かって言い放った。

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