《MUMEI》 「…どうしてお前等なんだ…。」 「?」 「どうしてお前等が有名なんだ!!」 「…ん?」 蓮翔ちゃんも俺も、突然興奮しだした須藤に付いて行けなかった。 「…は? そりゃあ…俺達は有名だけど…。」 なあ?、と蓮翔ちゃんは俺の方へ向いた。 「ああ。」 今日の夜空は最悪だ。 至る所に雲が敷き詰められ、やっと至近距離の蓮翔ちゃんの表情が伺える程。 当然、向かい側に立っている須藤の顔は、暗闇のせいで薄くぼやけている。 厄介だな……。 相手の表情を見ずに、会話を通すのはこんなにも難しいのか……。 そんなことを考える余裕が出来る程、いつの間にか冷静になっていた。 すると……あることにひらめいた。 なるほどな……。 「要するに、お前は俺達のことを羨んでいるんだろう?」 意外にも落ち着いて話せたことに少々驚く。 「ちがっ!!そんなんじゃねぇ!!」 「だったら何?」 今度は蓮翔ちゃんが何かを察したように呟いた。 しかし、少し飽きれた調子で。 「ん?どうしたんだ?」 小声で話しかけると、 「結構こうやって絡んで来る奴多いんだ。」 蓮翔ちゃんはそう言って苦笑いして見せた。 しかし、この言動は更に奴に火を付かせたみたいだった。 前へ |次へ |
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