《MUMEI》

どーせ、あたしはケーコタンのようには、なれないんだ。


おに〜ちゃんの自慢の従姉妹のケーコねーちゃんのようには!!


…いつもいつも、繰り返してる…


…何かに躓いて、何かが少し分かった気がして…


…そしてまた違う悩みが出て来る…


…でもそれが解決すると、違う悩みじゃなかったような気もしてきて…


…結局はいつも同じ事で悩んでいるよーな…


いつも同じ道を、行ったり来たりして、同じ石に躓いてるみたいな…


あたしって、よっぽど馬鹿なんじゃないかと思えてきちゃう…


「あれ?いっくん、今帰り?」


「やあ、中里。家の手伝い?」


「うん、ユニフォーム作って貰ったからな。」


「そっか」


「これが終わったら、練習に行くんだ。オレ、補欠だけどよ、今いっくんの替わりにファーストやってんだぜ。」


「へえ、頑張ってね。」


「いっくんが出て来たら、オレ補欠に逆戻りだよ。オレ、やっぱり野球やってる、いっくんの方が好きだな…」


「え?」


「オ、オレ早く配達終わらせないと、練習の時間なくなっちまう。またなあ〜!」

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