《MUMEI》 「龍也は…いくら頑張っても…何も相談してくれないんだもん…」 俺の両腕を尚は抑えつける。 「…どういう事だよ?」 「教えてくれ…どうしてそんなに怯えるんだ!」 いや、怖いのはあんたのせいだって…誰でもびびるから! 「俺は尚と付き合うのは正直怖いよ」 「!」 その瞬間、尚は動揺のあまり俺の腕を話した。 「…だけど、俺を好いてくれるのは嬉しい…。付き合う事は難しいけど」 尚はベッドから降りた。 「…すると、なんだ、俺はお前といつも通りでいろって言いたいのか?」 俺はズボンを上げて、体育座りのような体勢になる。 「…そういう事だ。いくら、あの頃は好きで居たけど、もう体が付いて行こうとしない…」 頑張っても頑張っても、俺はもう限界に近づいていた。 (酷な選択かもしれない…だが、俺は決めた) 「…仕方ない、な」 尚はそろそろと帰って言った。 (…冷めた心のままで付き合うのは辛い―) その頃、宮は…― 「…寒いわね…こんな寒い夜にコンビニに行くんじゃなかったわ」 買い出しに行ってたらしい。 「宮!」 尚は歩いている最中、宮に会った。帰り道が偶然一緒なのだ。 「あれ?どうしたの秋谷…」 「俺…龍也と別れる事にした」 「へ!?」 笑顔でそんな事よく言えるよなぁ… 「驚くのも無理ないよなぁ…」 「当たり前じゃない!」 今まで仲が良かったから、ずっと別れないと宮は思い込んでいたんだろう…。 「ま、まぁ…これで縁を切るって訳でもないし、俺達はいつも通りやってくから」 宮はきっと唖然としているだろう… (嘘よ!こんなの嘘に決まってるわ!) 「ちょっと…アイツのアパートまで行って来る!じゃあね!」 買い物袋はそのままに、宮は尚を横切って走って行った… 「宮!」 (何が会ったの!一体…アイツに何が起こったって言うの…!?) 前へ |次へ |
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