《MUMEI》 「ちょっとこれ借りていいか?」 しばらく黙って、ブレスレットを眺めていたグレイドが口を開いた。 そうして、俺の返事も待たずにいきなり立ち上がると、ブレスレットをズボンのポケットにそっと入れて、両手を前に突き出した。 何をする気だろう? そう思った矢先、グレイドの両手の先に、音も無く真っ暗な暗闇が現われた!!! 人一人分が入れそうなそれは、俺の目を釘付けにする。 吸い込まれそうな程真っ暗な闇に、思わず恐怖が芽生えた。 ところが突然、目の前の視界がグラリと揺れて、激しい頭痛に教われた。 「…っぐ……」 あまりの痛さに派手に倒れてしまう。 それと同時にカタカタと震わせながら、グレイドのズボンの中のブレスレットが激しく光り出した。 「……まさか!!そんな訳……!!」 グレイドは咄嗟にポケットから取り出すと、俺とブレスレットを交互に見つめた。 「…そんな訳……!!」 そして、知らぬ間に同じ言葉を再び呟いていた。 前へ |次へ |
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