《MUMEI》

「仕方ないな、そちらにるりっちのパパの座は譲って三葉ちゃん達のパパになるかな。」

乙矢を取られるくらいなら俺が二郎君に惚れた方がいい……。


「でも三葉ちゃんのお父さんになる為には元族の総長とその総長をもオとす旦那を越えなければならないですよ?」



「あ……そうか、男子高校生だもんね?」

やばい。
今更岸君の冷静なツッコミが脳内を廻る。


「……え、はい。」

俺に気圧されている二郎君があはれだ。


「そうだよねー、ははははははははは。三葉ちゃんのご両親元気ですか?……ふ、はははははははははははははははは!」

ごめん、二郎君。
完全に嫉妬により我を忘れてた…………!


許してベイビィ。


「じろう君お花の香りがスル。」

乙矢の気持ちが二郎君に向いてないことを知ると二郎君がやたらに愛しいじゃないか。
抱き着いてみると二郎君は柔らかいし肌はスベスベだし、なんかおいしそう……


「自粛しろ。」

乙矢に引き剥がされる。
やだ、二郎君のオーラにあてられたのか?

てか、今、乙矢妬いてくれた……?

なーんて、なーんて嬉しいじゃなーい。


「じろー!何、今のは!」

乙矢と対比的な子が二郎君の真後ろに立っていた。
あ、でも妬いた乙矢と目付きクリソツー……。


「失礼、帰国子女なものでついついスキンシップを激しくしてしまいました。」

なーんて無理あったかな。


「じろー、キコクシジョって?」

おお、ごまかせた!


「宗方さん、利恵さんが首を長くして待ってますよ」

パシリ屋岸君が大荷物を抱えて戻って来た。


「岸君、違うなあー。私は雁首揃えて待ってろと伝えたのだけれど?」

利恵さん登場ー……。


「ままあ、あのねーべっこうあめ食べたい。」


「じろー、俺もべっこうあめ食べたい。」

屋台に子供達は目が無いようだ。


「岸君に買ってもらいなさい。そっちのキレーなお兄ちゃん達も岸君が奢ってくれるって。」

岸君には何故か利恵さんもいつもの三割増しS。


「利恵さん……?」

岸君がそんな世の中全てに裏切られたような顔をするからだろうな。


「やったあ岸君の奢りー」


「りー。」

るりっちと俺もかくゆう岸君虐め隊だ。


「いや、そんな自分で出しますから……」

二郎君たら真面目だな。


「俺、青色がいいっす」

お隣さんは超素直だ。

「るりあか〜」

るりっちとやたらに馴染んでいる。


「じろーは何がいい?」

……無邪気な笑顔。


「子供っていいねぇ」

癒し系だな。


「俺は二郎みたいなおしとやかな子が欲しい……。」

乙矢子供欲しいんだ?!


「なんで俺なの……」

こんな綺麗な子欲しいんだ……!


「だって俺が育て上げたようなものだし。」

……そ、それは
育て上げちゃったということは二郎君のその肉体も育て上げたという……?!


「どんなにやんちゃな子でも乙矢は面倒見いいから結局、可愛がるんだ。父親になったら分かるよ。」

あ、違うか……。
父親になるってことは親子関係だよな。


「が、がんばります……」

やだあ、乙矢が父親だったら俺はお母さん?

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