《MUMEI》

俺は、ズンズンと怒りを抑えながら、鏡へ向かって行った。


案の定、そいつも俺の方へ向かっていた。


「誰なんですかっ!!」

そう言い放ったその時……


ゴンッ!!!


「った!!」


俺の額が鏡にぶつかった。


「え?…どうして…。」


鏡には知らない人が映っているの筈なのに……。


まさか…後ろ?


…だが、振り向いてもグレイドが立っているだけ。


「…お前だよ。」


すると、今まで黙っていたグレイドが微かにそう言った。


「え…?」


「だから、鏡に映っているのはお前だよ。」


「……俺?」


慌てて目の前の鏡をもう一度見ると……。


その顔は確かに俺に似ていた。


ただ瞳は、グレイドと同じ、透き通るような赤だ。


「…それが本当の姿だ。」


再び振り返ると、グレイドの瞳は、何処か自信に溢れていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫