《MUMEI》
立場逆転
「…訊いても、いいか、な?」

「…何だ?」

「この状況… … 何?」


この状況


雅はベッドに仰向けになって俺を見つめ


俺は、そんな雅を見下ろしていた。


ここは、高等部の寮の


雅の部屋だった。


中等部がそうであったように、高等部も一年生は二人部屋で、二年生からは個室だった。


ちなみに、俺の同室者は、相変わらず田宮だった。


相変わらず情緒不安定だった俺は、衣替えが終わった頃、再び雅を見かけた。


身長が180になっていた俺に比べ、雅の身長はあの日のままだったから、久しぶりに見る雅は小さく見えた。


そして、不意に、雅と肌を合わせた日々と


雅に言われた言葉が、俺をこんな行動に導いていた。


『失恋して寂しいから慰めて欲しい』


そう訴えた俺を、雅はあっさり部屋に招き入れた。


そして


入った直後に俺は


雅をベッドに押し倒したのだ。


「慰めてくれるんだろう?」

「うわ、ちょっ…」


服を脱がそうとすると、雅が慌てて抵抗した。


「雅」

「…ヒャッ!…忍、やめろよッ」

「嫌だ」


雅が感じる部位を、俺は覚えていた。


知らないのは、雅の中だけだった

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