《MUMEI》
肌を合わせる理由
「確かにお前は攻めとは言ったが…

…俺とする事は無いだろう」


雅は恨めしそうに、俺を見つめた。


「教わった中で一番優しくしたつもりだが?」


俺はかなり時間をかけて、ローションも使って雅の中をほぐしたし、ちゃんとゴムも着用した。


その上、終わった後ふて寝した雅の全身を綺麗に拭いた。


「そういう問題じゃない。…俺も、攻めなんだぞ」

「大丈夫。可愛かった」

「… … 忍は … 可愛くなくなったな。

好きなヤツに振られて、…大丈夫なのか?」

「…雅をヤッたらスッキリした」

「何だ、それは!」


雅はガバッと起き上がり、俺を睨みつけた。


「雅と一緒にいると安心する。

肌を合わせると落ち着く」

「……じゃあ、せめて逆に…」

「それはもう嫌だ。こっちがいい」

「あのなあ… …まぁ、いいよ」


諦めた雅を、俺は抱き締めた。


一人は寂しい。


肌を合わせると安心する。

それは、旦那様もきっと同じだろうと思った。


だから、少年を買うのだと。


そして、これからは飼うのだと。


雅との関係は、雅が高等部を卒業するまで続いたが、結局お互いに愛情が芽生える事は無かった。

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