《MUMEI》
初めての女
大学は男子校では無く、共学だったから、普通に女と付き合った事がある。


『面倒くさい』


これが、初めて女と付き合った俺の感想だった。


(雅の時は楽だったなぁー)

雅は俺を束縛しなかった。

雅とセックスするのは、友達とカラオケに行くような感覚だった。


お互い、ストレスや欲求が溜った時に、発散する為に相手に連絡し、予定が合わなければ『また今度』となる


そんな気楽な関係になれていた俺にとって、初めての女は


『彼女』と呼ばれる存在は、面倒くさくて仕方なかった。


だから、すぐに別れた。


藤堂家の跡取り息子としての自覚はあったが、俺は女を好きになれそうも無かった。


そもそも、女と付き合う暇があったら、その分執事としての勉強をしたいし、卒業後、屋敷に戻れば俺は正式に旦那様の執事になるのだから、正直女などどうでも良かった。


(いい加減、女々しいな、俺も)


旦那様は祐也という子供に夢中だと、父の手紙にあった。


それでも、あの日、俺の腕の中にいた旦那様を、俺は今でも愛しく思うのだ。


旦那様が、俺を正式に執事としたいと言っていると聞いて、舞い上がる自分が


自分でもおかしかった。

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