《MUMEI》

覚悟はしているけど、怖い……。


いざグレイドが呼び出した暗闇に入ろうとすると、全く先の見えない暗闇に気をとられ、足が前に進めない。


そして、やっぱり怖い。


グレイドのような人がたくさんいるかも知れないし、とても凶暴な生き物とかいるかも知れないし……。


「ハァ……。」


グレイドはそんな俺を見兼ねて、黙って俺を抱き抱えると、容赦無く暗闇の中へ入って行った。


後ろを振り返ると、そこには既に暗闇に包まれていて、自分の部屋は見えなかった。


これからどうなるのかな……。


不安が徐々にに積み重なって来る。


「おい、しっかりと気引き締めろよ。」


グレイドが真剣な眼差しで俺を見ている。


ん?何かあるのかな??

そう思っていると、突然!!!


「うわあぁ!!!」


思わずグレイドにしがみついていた。


「だから、注意したろ。」


ため息混じりに呟いたグレイドに、俺は何も言えなかった。


何故なら、顔が潰れた人が目の前を通り過ぎたから。


ゆ、幽霊!?


「アレは幽霊だ。」


グレイドは俺の考えを読み取ったかのように話した。


と、同時に、ある疑問が頭に浮かぶ。


「幽霊ってことは…まさかここ…。」


「ああ、霊界だ。」


やっぱり……って……えっ!!!?


嫌な予感がした。


「じゃあ、今向かっているのは……。」


「地獄だ。」

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