《MUMEI》 頼の行き先そう言ったのは、坂井だった。 「あいつは、多分サッカー部の連中と、柊と一緒だよ」 頼は部活の後、サッカー部のマネージャーの長谷川と、毎日希先輩を迎えにくる柊をからかいに行っていた。 頼はどうやら、好きな子をいじめるタイプらしかった。 (逆効果だよなあ) 最近は、長谷川をいじめ過ぎて、長谷川をかばう真司と長谷川の距離が更に縮まった気がする。 「駄目だなあ、坂井ちゃん。俺と頼を見分けられなくちゃ、頼の彼女になれないよ?」 「別になりたくありません! 大体何で部外者が混じってるんですか?」 「嫌だな〜ここ、部室でも学校でも無いよ?」 厳は、別に好きだからではなく、本当にからかいたくて坂井をからかっていた。 (つ〜か、坂井は覚えてるのか…) 本当に厳は、可愛い女の子が好きなんだと実感した。 「祐也。そろそろ座らない?」 「あ、うん。…て、志貴は食べないのか?」 他の連中のトレイの上には、ポテトやハンバーガーがあるのに、志貴の手元にはアイスコーヒーしかなかった。 「この時間食べると太るから」 「別に太ってないじゃん」 「努力してるの!増えるとすぐ父さんにバレるし!」 前へ |次へ |
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