《MUMEI》

「珠緒、さっき悲鳴が聞こえてたけど平気だった?」

千守さんが保健室の前で待っていてくれた。


「 いえ、全然……」

電動剃刀を使われた気持ち悪さがびりびりと身体に広がっているくらい平気じゃないです……


「僕のこと何か言ってた?」


「いえ、全然千守さんの事は……」

電動剃刀でそれどころではなかった。


「兄さんに嫌われてなかったか心配だったんだー。
ホラ、血の繋がりもないし兄さんあんな感じだからあんまり嗜虐対象以外のものに興味示さないからさ。」

 シギャク大賞?
それより、千守さんは千秋様と仲良くなりたいらしい……!


「千秋兄さんは珠緒と仲良くしてるみたいだから、羨ましいなーって。」

なななな仲良しっ……!
僕、他の人から見ても仲良しなんだ!
臍が疼く、生える前兆か?!


「そんな、僕なんて全然です……!」

臍を掻いてごまかす。


「僕も仲良くなりたいな?」

千守さんは朗らかに、そしてまばゆい笑顔をはにかませながら僕の手を握ってきた。

なんだかこれは……、


「僕が千秋様と千守さんの仲を取り持ちます……」

と、言わなければいけないと思わされた。


「わあ、本当に?嬉しいな」

千守さんの千秋様と似ているところ、

威圧感だ。


「はあ……」


「本当、嬉しいよ。あ、でもこのことは千秋兄さんには内緒で進めようね。」

千守さんの抱擁はとてもその身では想像出来ないほど力強い。
少し、眩暈した。


「はあ……」

なんだか千守さんのリズムに引きずられて行ってるような気がする。


「うふふ、珠緒のこと僕、気に入っちゃった。」

ふわー!
キラキラなオーラに潰されてしまうー……!
なんだこの発光体は……銀髪のせいか?
白ランのせいなのか?

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