《MUMEI》

≪カタン‥≫

「?」

物音がして‥‥

僕の意識は現実に引き戻された。

今の音はなんだろう‥。

あの気配は誰なんだろう。

気になる‥。

≪パタ‥≫

枝折を挟んで一端本を閉じると──

僕はまた椅子から立ち上がった。

そして‥‥‥

本棚に近付く。

≪サ‥ッ≫

「誰‥?」

僕の質問に答えは返ってこない。

誰もいないのかな‥。

そう思って後ろを向きかけた。

「新木っ」

「‥ぇ」

聞き慣れた声だった。

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