《MUMEI》

「‥‥‥‥‥‥‥」

小坂だ。

小坂‥

茉莉‥。

何で──

こいつがここに‥。

「新木‥」

「っ‥」

後ろから声がして‥

ビクリと体が震えた。

怖いのか‥?

僕は‥。

何を怖がっているんだ‥?

「‥‥‥‥‥‥‥」

分からない‥。

でもどうしてか‥

こいつが今ここにいる事が嬉しい。

でも‥

僕は振り返らない。

振り返るなんて出来ない。

ギリギリと心が締め付けられるような感覚がして‥‥

グッと拳を握り締めた。

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