《MUMEI》 地面にぶつかりそうになる少年。 だが彼が着けていた命綱によって、それは防がれた。 少年は、自分が落ちてきた『上』を見上げて息をついている。 「ヴァイス君!」 先生はその少年に向かって叫ぶ。 「また、『上』に登ろうとしたのね!」 ワイヤーでできているらしい命綱を回収している少年――ヴァイスに叫び続ける。 「そんなに『上』に行きたいならちゃんと勉強して、偉くなってから行きなさい! 世の中にはきまりってものがあるんです。――――――――聞いているの!?」 依然として『上』を見ているヴァイスは、先生の方を向き、背筋を伸ばし、ビシッと手を挙げて言葉を発した。 前へ |次へ |
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