《MUMEI》

 地面にぶつかりそうになる少年。
 だが彼が着けていた命綱によって、それは防がれた。

 少年は、自分が落ちてきた『上』を見上げて息をついている。

「ヴァイス君!」

 先生はその少年に向かって叫ぶ。

「また、『上』に登ろうとしたのね!」

 ワイヤーでできているらしい命綱を回収している少年――ヴァイスに叫び続ける。

「そんなに『上』に行きたいならちゃんと勉強して、偉くなってから行きなさい!

世の中にはきまりってものがあるんです。――――――――聞いているの!?」

 依然として『上』を見ているヴァイスは、先生の方を向き、背筋を伸ばし、ビシッと手を挙げて言葉を発した。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫