《MUMEI》 だんだんと大きくなる光……。 それは、地獄へ通じているのか………。 覚悟を決めて目を閉じると、体がその光に包まれたのが分かった。 「おい、着いたぞ」 そっと、グレイドが俺を地面に降ろそうと腕を緩めた。 「やめろっ!!」 「…!?なんだ?」 「ここは針地獄なんだろ?!」 「…バーカ。ちゃんと自分の目で見てみろ。」 その声は、何処か笑いを堪えているように見えた。 「……?」 意を決して、ゆっくりと目を開けると……。 「え……!?」 俺は綺麗な色をした、石張りの床の上に立っていた。 そこを取り囲むようにして、螺旋状にレンガが果てしなく上まで続いている。 遥か上には、澄み渡る空が覗かせていた。 ……針地獄なんて、何処にもない。 「ククク…。まあ、ついさっきまで人間だったのだから仕方ないな……。」 グレイドは愉快そうに笑うと、 「ついてこい。」 今度は俺を抱き上げず、ついて来るように促した。 そして俺達は、レンガをくりぬかれて造られた、一つの大きな扉へ向かって歩き出した。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |