《MUMEI》 帰国帰国した俺達を待っていたのは、信じられない光景だった。 「申し訳ありません」 そう、頭を下げる父の後ろには 青い顔でベッドに横たわる祐也が見えた。 手には点滴。 顔には殴られた跡が見えた。 俺は、うっかり旦那様が祐也の為に購入した高級菓子を落としそうになったが、何とか平静を保っていた。 「説明を…」 口を開いた旦那様の表情は、後ろにいる俺からは見えなかった。 しかし、その背中も、肩も、握り締めた拳も震えていた。 父は、足が不自由になり、引退したといっても、やはり執事だ。 冷静な口調で、祐也の身に何が起きたかを、簡潔に旦那様に説明した。 「申し訳ありません」 説明が終わると、父は再び旦那様に頭を下げた。 「わかった。…行くぞ、忍」 「はい」 俺は、『どこに』とも『誰に』とも質問せずに頷いた。 わかっていたから。 コンコンッ 「はい。あ、おかえりな…」 バキッ!! 「っ?」 ドサッ! 部屋の中にいた人物は、信じられないといった表情をしていた。 俺も、初めてだったから驚いた。 旦那様が、人を殴るなんて 前へ |次へ |
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