貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》

あぁ、また聴こえる

それはそれは、ザワザワギャアギャア五月蝿いもんで

決まって、いつも左側から聴こえるんだよ

やたら耳障りの悪い声達

つんざく様な…までは行かなくともね、まぁ、そいつらは高い声をしている訳だ

あぁ、五月蝿いな。そんなに声を張り上げなくたっていいじゃないか。聴こえてるってば

そう思った所で、自分に何かを伝えたい訳じゃないんだから。やつらが声を大きくするのは当たり前の話

混んでる居酒屋の酔っ払い連中って言ったら分かって貰える?

まぁ、分からなくてもいい

分かってくれとは言わないさ

そんな感じの喧騒が、自分の左側から聴こえるってだけの話

誰も居ないのにね

それに時々、歌ってるんだ、やつらは

これがまた酷い

誰一人として合わせようとしない、協調性って言葉は無いね

酷い旋律を喉から出して、笑って、飽きたらまた喋りだす

それの繰り返し

やつらの宴会やら井戸端会議にゃいい加減ウンザリしてるんだよ、こっちは

まぁ、やめろと言わない自分もどうかと思うけど

誰も居ない左側の空間に怒鳴った所で、なーんにも変わりゃしないからね。なーんにも

それに、そんなのただのキチガイにしか見えない

や、そんな声が聴こえてる自体キチガイか

まぁ、居なくなったら居なくなったで物足りなさを感じる自分もいるわけ

これが自分の脳みその中で起こってる出来事なら楽なんだがね

酒なり、ジュースなりに劇薬でも入れりゃ終わり

あぁ、鉈で首を跳ねるのは勘弁

手も顔もベトベトになっちまうからね

それで、五月蝿い五月蝿い宴会はお開き

しかし世の中、そう上手くは行かないもんだ

妄想とは別の次元の何かなんて殺せる訳無いんだから

…あぁ、静まった。珍しい

いつもなら、まだ五月蝿いのに

次、始まるのはいつだろうね

それまで、まともなフリして、まともな一日を生きるさ

キチガイとマトモの境界線とやらに、差し掛かった自分にゃ

やつらの五月蝿さが少なくとも合図になってるみたいだ

…何の合図かは秘密


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