《MUMEI》
祐也の変化
弘也様との一件があってから、祐也は変わった。


それまでは、ただ旦那様にベッタリ張り付いて、甘えていた子供だったのに


最近、学びたいという意欲が出てきたのだ。


どうやら、自分がペット扱いされた事よりも、無知で無力な自分のせいで旦那様が傷付くのが嫌らしい。


祐也は、旦那様の弱くて優しくて、どこか頼りない所しか知らない。


(俺も、昔はそうだったな)

俺が十代の頃に抱いた印象を、祐也も同じ頃に抱いていると思うと、複雑な気持ちになった。


(今は、違うがな)


アルフレッドの件と、弘也様の件で思い知った。


旦那様は、大事な物の為なら何処までも非情に冷酷になれる方だ、…と。


祐也に勉強を楽しそうに教える旦那様を見ると、そんな事をつい忘れそうになるが、仕事をこなす旦那様を見るたびに、それを思い出した。


(さすが、あの二人の子供…と言ったところか?)


父親のアルフレッドからは、理数系の才能を


母親の姫華様からは、語学の才能を受け継いだ祐也は

天才と呼ばれた旦那様も驚く程、頭のいい子供だった。


特に、旦那様が教える数ヶ国語を全てマスターした時は、俺も驚きを隠せなかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫