《MUMEI》
旦那様の尋問
「昨夜の忍はおかしかったね」

「すみません」

「…どうして、祐也に聞かせたんだい?

きっと、祐也は昔私が忍を抱いてたと誤解してるよ?」


(やっぱり気付いてたか…)


今朝になっても、祐也は明らかに昨夜の俺の言葉に動揺したままだった。


それなのに、そんな祐也を、旦那様は特に心配していなかった。


「試しただけです、祐也を。
どんな事があっても旦那様を愛していけるか」


これは、半分は本当だ。


俺と付き合った女もそうだが、普通、恋人の過去は気になるものだ。


特に、恋人の恋愛歴はその最たるものだろう。


過去、俺と旦那様は、すれ違ってしまい、愛し合った事はないが


俺が旦那様を


旦那様が俺を愛した事は、確かな事実だった。


「それで祐也が私を嫌いになったらどうしてた?

忍が付き合った?」

「そんなの無理じゃないですか! 旦那様の体は…」

「違うよ」

「…は?」

「私じゃ無くて、祐也だよ」


ドクンッ


(何だ?)


旦那様の言葉に、俺の心臓が異常に反応した。


「忍は姫華もうっとり見てたし。

最近、祐也も、…見てるよね?」


旦那様の目が鋭く光った。

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