《MUMEI》
早朝
翌朝。


(何か、嫌な予感がする)


俺は、旦那様の部屋に、いつもより一時間早く向かっていた。


コンコンッ


(まだ寝てるか?)


コンコンッ!


(おかしい)


音に敏感な旦那様は、最低二回目のノックで返事をしていた。


「失礼します」


ガチャガチャッ


(カギ!?)


旦那様は部屋のカギは、朝五時に一度起きて開ける習慣があった。


今は、五時半だ。


俺は、上着のポケットから旦那様とその執事だけが持つことを許された


マスターキーを取り出して、ドアを開けた。


「旦那様!…ッ…」


旦那様は椅子に座っていた。


一目でわかった。


シンデイル


タスカラナイ


「キャー!」


いつの間にか、俺の隣に来ていたメイドが悲鳴を上げた。


(ウルサイ)


その声に、人が集まり始めた。


俺は


バタン!!


部屋に入り、扉を閉めてカギをかけた。


「旦那様…」


俺は、手袋を外した。


もう、旦那様は震えないから。


ゆっくりと近付き、頭を撫でると


俺の手は、真っ赤に染まった。


旦那様の血で、真っ赤に

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