《MUMEI》

真智の目の前に立つ男は、少し短めの黒髪に白い肌、大きめの瞳で灰杜に負けないぐらいに整った顔立ちだった。180pはあるであろう身長に見合った体型は黒いスーツで隠れている。



「あぁ・・・・・・進藤ね。湧出先生、コイツが進藤だよ」



灰杜が真智を指さすと、男は書類から真智へ目線をずらした。あぁ、とでもいうように納得する。真智はというと、灰杜を見ながら口をパクパクしていた。



「かいちゃんッ!!!この人誰、何でうちのこと知ってんの」



耳打ちで言うと、灰杜は驚いたような顔をして無言になった。湧出の方を見ながらため息をつく。



「そぉいやお前、昨日から学校来てたよな。まだ会ってないはずだ笑」



湧出は真っすぐな目で真智を見ると、少し前へ出た。真智はとっさに灰杜の服を掴んだ。



「初めまして、進藤さん。今年から君のクラスの理科を教えることになった湧出一哉です。よろしくね」



再びにっこりと笑うと、湧出は教務室へと戻って行った。少しの間固まっていると、ポケットに入れていた携帯のバイブが鳴りだす。振動で驚きながら携帯を開くと、メールがきていた。



「あっ!!!遥からメール」



灰杜は壁にかけられた時計を見ると立ち上がり真智の鞄を持った。



「急がないと1限始まるぞ」



「うっそ!!!!?わぁ〜やばい。早くしないと福チンに怒られる。じゃあ、またね、かいちゃんッ」



鞄を灰杜から受けとった真智は、急いで理科室を出た。走る足音が廊下に響いている。灰杜は頭をかきながら、教務室へ戻った。教務室には湧出が笑いながら、灰杜を見ていた。



「あいつ騒がしいだろ?あいつが戻って授業大変だろうけど頼むな」



「はい。わかりました」

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