《MUMEI》
あしもと
ぼくは学校で休み時間中ずっと忘れ物を探していました。

「無い、無い、無いよう!」椅子がひっくり返りそうになります。
鈴が無くなってしまいました。

どこに行ったの?
忘れ物箱には入ってない
どこに落としたの?
廊下は見た

兄ちゃん、兄ちゃん、どうしよう。




…………チリン……………
「動かないで!」
ぼくは叫んでいました。
みんなが見ています。

気にしてはいられません。
一人一人の足元に注意して鈴を探します、山田君の前で見つけました。
「びっくりさせてごめんなさい、大切なものを落として探してました。どうか動かないでいて下さい。」
ぼくは自分でもびっくりしました。
こんなに思ったことを、スラスラ言ったことが無かったからです。


そして、ぼくは何もなかったかのように落ち着いて席に座りました。

「何を探していたの?」
山田君がすぐぼくの方へやってきました。

「鈴だよ。お兄ちゃんと二人で持っているぼくの宝物なんだ」
掌を開いて山田君に見せてあげます。

「正平君てしっかり考えたことを言えるんだね。」
山田君とは、そのあと一杯話しました。
ぼくは自分でいろんな 考えが言えたので、楽しかったです。


今までは昌兄ちゃんがぼくの考えることやお話を代わりにやっていたので、こうして山田君と話して新しいぼくを発見することが出来ました。



ぼくは思ったよりも、はっきり考えていた言葉が言えて、本当はお喋りだ。

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