《MUMEI》

祐也は、俺を完全に旦那様だと信じている。


旦那様が自分の愛撫で反応したと、喜んでいる。


そして、今も旦那様を求めている。


ただ、問題は、今、その旦那様の立場に


何故か


祐也にとって憎むべき存在

俺が、なっているということだ。


この状態で、俺が出来る事は、二つだ。


抱くか、いなくなるか。


俺は、旦那様と祐也の情事を何度も見てきた。


嫌というほど、何度も。


旦那様と同じように、祐也を抱く自信はある。


しかし


(もし、俺だと気付いたら?)


祐也は、きっと深く傷付く。


そして、それ以上に…


旦那様に呪われる


…ような気がした。


(ん?)


迷っていると、小さな泣き声が聞こえてきた。


俺以外に、ここにいるのは祐也だけだ。


ふと見ると、祐也の体が震えていた。


しかも、祐也はそれを俺に悟られないように必死で隠そうとしていた。


…気が付いたら、体が勝手に動いていた。


俺は、ベッドの下からローションとゴムを取り出した。


(まだ、あるな)


中指にローションをたっぷりつけ、祐也の秘部に塗り付けた。


その冷たさに、祐也が震えた。

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