《MUMEI》
終章
祐也は俺が抱いたあの夜の出来事を全て夢だと思っていた。


俺は、ものすごくホッとして


ほんの少しだけガッカリした。


…ガッカリした事は、もう一つ。


あれ以来、祐也は不能になってしまった。


いくら刺激を与えても、全く反応しない祐也の体には

…旦那様の呪いがかかっているのかもしれない。


それ以外に気になる事はいろいろあるが、比較的早く祐也がこの屋敷を出る日がやってきた。


その前日。


祐也の背中の傷を隠す為に、俺はある男を呼んだ。


祐也は彫り師だと思っているが、実はこの男の職業は違うもので


当然、祐也の背中にある物も、刺青ではない。


しかし、飛んでいってほしくないのは本当だ。


両親や、旦那様の待つ天国に、まだ祐也をやりたくないから。


「じゃ、これ」

「あぁ」


俺は、男からある物を受け取った。


これを使うのは


多分、祐也が学校を卒業する時だ。


(とにかく、水泳が無い環境になってからだな)


…こんな事をする自分は


やっぱり普通ではないのだろう。


しかし、これが


俺だ




















ー完ー

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