《MUMEI》 「なあ、そんな逃げんでもええやんか。」 俺と蓮翔ちゃんは一緒になって走っている奴に目を見張った。 「襲ったりせぇへんのやから。」 そう言って、ニカッと笑う。 俺らについて来るなんて…やっぱりコイツ……。 「誰だよお前!!」 蓮翔ちゃんはまだ気付いて無いみたいだ。 「えー、やっぱ覚えとらん? 蓮翔ちゃん、颯ちゃん……。」 やっぱり!! “颯ちゃん”と言うあだ名で呼ぶのを許したのは、桐海蓮翔と……。 「凪谷賢史(なぎたに けんし)…。」 「え!?」 「まだ気付かないのか? 大阪弁と福岡弁を混合して話すのは、コイツぐらいなもんだろ。」 「ちなみに、標準語も使えるぜ。」 凪谷は嬉しそうに笑っている。 「え!賢ちゃん!?」 「今更かいな。」 俺も賢ちゃんも、蓮翔ちゃんの鈍感さにため息がでる。 「まあ、相変わらずっちゃあ相変わらずやね。」 「お前なあ、ここ東京何だからちょっとは考えろよな。」 「何が?」 「いや…。 大阪弁と福岡弁、浮くだろ!!」 「そう?」 賢ちゃんの鈍感さにもたまげたもんだよ……。 前へ |次へ |
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