《MUMEI》

「昔って何があったんだ?」


「……。」


塁羅は無言で綺嘉の服を強く握りしめた。


その手、その体は小さく震えていた。


「そうか、無理に離さなくて良い。でもいつかは聞かせてくれ。」


塁羅は答えなかった、ただ答えなかったかわりに震えが止まっていた。





「あっ!こら!いつまでくっついている!」


塁羅は綺嘉を軽く押した。

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