《MUMEI》

それから、翌日―俺達は…仲直りをしに公園まで待ち合わせをした。

「…尚」
思い通りのリアクションだった…そっぽを向いてやがる…

「尚ってば!」
「なんだよ?」
「…ごめん、あんな事言って」

尚はクスっと笑って、
「…そんな事気にしてないよ。俺はお前の事信じてたから」

一瞬俺は泣きそうになった。

「おい?どうした?そんな顔して」
「い…いや、なんでもない」
「龍也は、俺と一緒に暮らしたい?」

思わず吹き出しそうになった!
「なっ!なんだよ?」
「い、いや…変な事言い出すから…」

尚は不思議な顔をしている…

「…?」

そして、俺の所に近づいた!

「俺の事がそんなに不服か!えぇ!?」

俺は思わずたじろいだ…
尚は本当に面白い奴だな。
「尚!」
「なんだよ?」

この際だから言ってしまっていいだろうか。

「そんな事言って、男だろ!?俺の事いつか嫌うに決まってる!」

好きになるのは勝手。しかし、その覚悟がないのだ。
「…龍也?」
「!」
「また…始まっちゃった?暴走」

もう境目がない…俺は尚にもたれかかった。

「どうしよう…俺…こんなんじゃ、尚の事…また突き放してしまうかもしれないのに」

尚は俺の顔を上に向かせ、笑った。

「…大丈夫だよ。俺はその時になったら俺は追いかけていく。いつでも逃げていいんだよ」

現実と理想はこんなにも違うのか。

「…ありがとう」
「いいって事さ。俺は古い仲だから許せるんだぜ?これがそうじゃなかったら完璧に怒ってたな」

俺の背中に尚の手が回った。

「…尚?」

「好きだ…」
俺はそれに答えるように、優しく尚の頭を撫でた。

「…俺も、好き、だよ」


そして、次の日―

「おはよう、宮!」
「おはよう…陽仁」

大学はいつもの朝を迎えていた。

「あいつら、仲良くなったんだな」
「私も安心したわ…あのままだったら、どうしようかと思ったもの」

宮は 苦笑いをした。
教室内では…―

「な、尚!」
「ん?」

俺は真っ先に挨拶しに行っていた!

「おはよう…」

そして、ニコッと笑ってくれた…
「おはよう」

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