《MUMEI》
騎士団の人物
「・・・ここ何処だ?」
救護室に連れて行かれて2時間ほど流れただろうか・・軽く頭を振りながら眼を覚ます狩月。
外では日が傾き始め、暗くなってきている。
寝台から下りすっと立ち上がる。カチャっとドアが開く音がし、白衣を纏った男が現れる。顔は整っているのに何故かかっこいいとは言えない。どこか抜けたような人そんな表現がぴったりとあてはまる。
「お?眼が覚めたか。バンプに吹っ飛ばされたって?災難だったな。」
あっはっはと豪快に笑いながら、水を差し出した。
「どうも・・で・・ここ何処です?」
水を受け取り、苦笑を向ける。
「そうだな。とりあえず自己紹介だよな。俺はロナイ。フィリアス教守護騎士だ。で、ここは守護騎士詰め所内の救護室って訳だ。吹っ飛ばされて気を失ったんでここに運ばれたわけだ。さぁ他に質問は?」
話を聞いているのか聞いていないのか、矢継ぎ早にどんどん話を進めていく。
「はぁ・・あの・・狩月です。よろしく。」
あいまいに頷きながら答えるが、あまりの会話ペースについていけない。
「しっかし、ほんと災難だったなぁ〜バンプに撥ねられるなんてよ〜。ま!対した傷じゃなくて良かったな。っておぃ!聞いってか?式夜のときもそうだったけどよ〜うちの団長の物好きにも困ったもんだ!」
どんどん会話を展開させていく。狩月は適当に頷くしかできていない。ドアが開き、一人の人物が入ってくる。黒衣、黒髪、黒眼・・完全に黒ずくめの人間だがハンディングのようなローブは纏っていない。その代わりとでも言うように、明らかな警戒心を瞳にたたえていた。
「そこのお前ついて来い。主人が呼んでいる。」
それだけ言うとすっと背を向けて歩いて行ってしまう。
「おいおい!式夜!客だぞ?もうちょっと愛想よくできないのか?まったく・・・」
「お前には関係ないだろう。早くついて来い。」
睨むように狩月を見る。
「あ・・あぁ。」
圧倒され、慌ててついて行こうと歩き出す。
「忘れ物だぞ!」そう言ってロナイが狩月の剣や盾を投げて渡す。
「あ・・ありがとうございます。ロナイさん。」
「おぅまたな〜」
ひらひらと手を振っているロナイ。ちっ、そう舌打ちをしてすたすたと歩き出す式夜。
後に続いて歩いて行く狩月。

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