《MUMEI》 貴子さん登場「後は、その姿勢と性格かな?」 「母さん」 「こんにちは…」 (何か、すごい嬉しそうだな、この人) 志貴が出てきた場所と同じ場所から登場した貴子さんは、新しい玩具を発見した子供のように目を輝かせて、固まる松本に近付いた。 「いらっしゃい」 貴子さんが松本を導いたのは、店内にある大きな鏡の前だった。 「これが、今のあなた」 松本は、戸惑いつつ、頷いた。 パシャッ! 志貴が横から写真を撮った。 それから、松本は同じ服装・メイクのまま、貴子さんに言われた通りの姿勢や表情を作った。 (さすがというか何というか…) 松本はすっかり貴子さんと志貴のペースに巻き込まれていた。 十分後。 「これも、あなたよ」 そう言われて、志貴と俺と松本が出来上がった写真を見た。 「最初からこうなら嫌いにならなかったのに」 「結構違うもんだな」 「…」 背筋をピンと伸ばす 真っ直ぐ前を見る 笑う時、口元を隠さない それだけで、松本の魅力が増していた。 「それにしても、予想と違ってちょっとガッカリしたわ」 「私も、それは残念」 「「え?」」 前へ |次へ |
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