《MUMEI》
嬉しい誤算
俺と松本は、同時に首を傾げた。


「志貴の話と違うんだもん。美鈴ちゃん」

「だって、学校じゃすっぴんだし、髪型もこんなに可愛く無いし…

だから、絶対私服も…

ダサイかと思ったの。

ごめん!美鈴!」


(いつの間に、名前呼び捨て?)


「いえ、そう思われても仕方ないです。

それに、制服、私似合わなくて…」


確かに松本は、濃い色やチェックのスカートは似合わないようで


今日も、無地のパステルカラーのワンピースに、白いカーディガンと白いパンプスを履いていた。


髪型も、いつもは一つに縛っているが、今日はアップにしていた。


(でも、それって損だよな?)


毎日着る制服が似合わないなんて、何だか可哀想だ。

それに、その似合わない格好で好きな人


厳に毎日会うのだから


(それは、暗くもなるか)


俺は、松本に同情した。


「「任せなさい」」

「え?」


どうやら、俺と同じように、貴子さんと志貴も松本に同情したらしい。


二人は熱心に、制服の着崩し方や、制服の松本に合いそうな髪型・メイクの指導をしていた。


「「あと、すみませんは禁句ね」」


最後に二人はそう念を押した。

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